環境ホルモン

 環境ホルモンという言葉を聞いて危険なモノという事は何となく分かっていても、 何がどのくらい恐いかということを良く理解している方は少ないように思います。 例えば、本当にその怖さが少しでも理解できていれば、 冷めてしまったご飯やおかずに塩化ビニール製のラップをして電子レンジで"チン"なんて事は絶対できないはずです。 「えーっ」って思っている方はこのページを良く見て、身の回りをチェックチェック!

 環境ホルモンってなーに?

ホルモンとは
 内分泌器官で作られ血液などに入った後他の器官に影響を与え、 その器官の働きを調節する生理活性物質の事で、 他のホルモンを受け取り細胞内のレセプターと結びついて核の中に入り込み、 生きていく上で必要な化学反応を起こさせる。

外因性内分泌撹乱化学物質
(偽ホルモン、環境ホルモン)


 環境ホルモン、別名 内分泌撹乱化学物質は環境中に存在して、 体に生体ホルモンの様な作用を与える化学物質のことです。 環境ホルモンは細胞の核に入り込み、レセプターと結合します。 体の中に入り込んでレセプターと結合し、 偽の鍵(たんぱく質構造)でだまして鍵を開かせてしまい、 あたかも本物のような働きをします。 例えば、母親の体内で男の遺伝子を持った胎児がいたとして、 その過程で偽の女性ホルモンによって女性ホルモンの作用を受け、 本来の男性ホルモンの分泌が正常に働かなくなり男子の生殖器も正常に作れなくなってしまい、 更には脳の構造も男子特有の構造にならなくなってしまいます。

 

 環境ホルモンが及ぼす影響

水辺の動物達への影響
 具体的に生体がどういう影響を受けているかというと例えば、 アメリカのフロリダ半島アポプカ湖に住むワニはふ化率が著しく減少していて、 原因を調べてみると、オスでは生殖器が小さく血中の男性ホルモンがとても低く、 一方メスでは卵細胞が正常に育たない等の生殖以上が起きています。 また、同じくオンタリオ湖ではメスとメス同士のかもめのつがいが発見され、 セグロかもめは減少、とりわけオスの減少が目立っています。

 また、ミシガン湖周辺の野鳥のアジサシのふ化率も減少しています。 さらに、バルト海周辺でのアザラシ、イルカの生殖障害、免疫異状、数千頭の大量死、 奇形、メスのオス化、オスのメス化、生殖器の異状、発育不全、免疫機能低下、 また大量死も起きています。

 日本でも多摩川で捕ったオスの鯉の卵巣にメスの卵細胞が見つかった例や、 東京湾で取れたオスのマコガレイがメス特有の卵黄蛋白質を作り出していた等の事例が報告され、 これはつまり「オスがメス化する」現象が起きているということであり、 生物が絶滅の危機さらされていることになるのです。 これらの生態系の異常が環境ホルモンとどのように関係しているか研究が進んでいます。

人間界での異変について
 精子が減ったり、奇形が生じたりしています。 さらにはガンの発生率が高くなること、主に精巣がん、前立腺がん、卵巣がん、 乳がんその他、生殖器の発育不全、停留睾丸、自己免疫疾患、パーキンソン病、 子宮内膜症、性同一性障害(外見は男性でも脳は女性)、知能の低下が懸念されています。 また、精神面でも影響を受けているといわれストレスへの過剰反応、精神不安定、 狂暴(キレル、ムカツク)も環境ホルモンの影響の1つとされています。

 そして、最も恐ろしい事は極微量で決定的な悪影響を与えていることです。 特に影響を受けるのは命の若い人であり、特に妊娠初期の胎児及び幼児です。 そして、その時期に環境ホルモンの影響を受けた場合、 ガン(精巣がん、卵巣がん、乳がん)の発症率が高くなることが確認されています。 また、影響を受けていることが分からないまま15歳ぐらいで発症します。

 と共に、奇形、精子減少、生殖器異状、生殖不能の増加確認されており、 朝日新聞が98年3月9日に公表した、男子学生(無作為に選んだ24歳前後の学生)を調査結果では、 受精能力を持った男性は34人中1人のみでした。 このまま環境ホルモンに対する対策がとられないままだと、 10、20年後には子どもが生まれなくな可能性もあるのでは!?

 環境ホルモンの強い毒性

水辺の動物達への影響
 環境ホルモンの原因としてさまざまな化学物質が疑われています。 例えば農薬、プラスチックから溶け出してくる物質、合成海面活性剤の分解物質等、 私たちの生活する環境内にごくごく自然に存在している食べ物や飲み物が、 主な摂取経路と言えます。

 これらの環境ホルモンの原因となる物質はごく微量でも、 甲状腺、精巣、卵巣等の内分泌機能や免疫・神経系の働きを阻害すると言われています。 環境庁、通産省の報告書や海外の文献によると、 現在70〜180種類の環境ホルモン的要素のある化学物質がピックアップされています。 また、アメリカの環境庁は約15000種類の化学物質についてのスクリーニングテストを開始しています。 この結果が分かればさらに詳細なリストが示されることになります。

 生物界に深刻な影響を及ぼしている環境ホルモンは、 やがては人間の世界にも深刻な影響を及ぼすことを教えてくれていると考え、 アトピッコクラブでも、環境ホルモンの勉強を進めて行こうと思っています。 また、情報は日々変化するので、皆様からの様々な情報の提供をお待ちしています。

各物質が及ぼす人体への影響

ノニルフェノール  これはポリオキシエチレン、アルキルフェニールエーテル、 とソニルフェニルエーテルに含まれています。 非イオン系合成界面活性剤(POEP)が環境に放出されると出現。 プラスチック製品の添加剤にも使われており、それが食べ物などに溶け出し、 母親の体内から胎児に移行することも考えられます(東京農工大の高田秀重氏)。 人や動物の眼、呼吸器系への刺激性、蓄積性が高く、乳がん細胞を増やす働きもあります。 甲殻、水生生物系に生殖障害(女性ホルモン作用)等への毒性が強く、 様々な動物実験の結果によって奇形を引き起こすことも証明されています。
ビスフェノールA  これはポリカードネイトとポリキシ樹脂に含まれています。 ホット缶コーヒーの溶出が最高。 ビスフェノールAの発生源は、主にポリカーボネイトとエポキシ樹脂で、 これは弱いエストロゲン作用つまり女性ホルモン作用があります。 エポキシ樹脂は缶ずめのコーティング材として中身の品質劣化を防ぐため添加されています。 熱を加えた食べ物の缶詰の樹脂からビスフェノールAが少しずつ溶け出しており、 京都のシンポジウムではホットコーヒー缶から最高で120ppb(1ppbは10億分の一、0.00000001%の含有) も検出されたと報告されました。 ビスフェノールAの厚生省の基準は2、5ppm(1ppmは100万分の一、0.0001%の含有)ですが、 2〜5ppbで人の乳がん細胞が増えた実験があり、また白血病の発がん性も認められています。 妊娠したマウスへ投与した実験で、生まれたオスでは精子の減少、前立腺肥大、睾丸ガン、 メスでは出生児数の低下が確認されています。 また、大量投与では即、精子が減少しました。
フタル酸エステル  これは塩化ビニールに含まれています。 モルモット等がナノグラム(10憶分の1グラム)単位で死亡するなど猛毒物質で、 血液中のエストロゲン濃度の低下、奇形の発生、妊娠率の低下、大量投与で、 即精子の減少が確認されています。 また、口がい裂などの奇形、腎臓、肝臓、皮膚の障害、肺や呼吸器の発ガン性、 免疫の障害、女性ホルモンの働きを阻害することが確認されています。 また、知能の低下にも関係していると考えられています。
ピレスロイド  これはペルメトリン、エンペントリン、レスメトリン、アレスリン、 プラレトリン、フェノトリンに含まれています。主として、殺虫剤に使用されます。 大量摂取すると急性毒性中毒で悪心、嘔吐、下痢、頭痛、耳鳴り等の症状を起こし、 重症になると、呼吸器障害、ふるえ、等を起こし、死に至る場合もあります。 また、アメリカのEPA(Environmental Protection Agency)は、脳、神経系への影響、 また発がん性があるかもしれないとして、 蚊取り線香の成分である合成ピレスロイドを調査しなければならない物質としていますが、 日本では環境ホルモンのリストには入れていません。
スチレン  これはポリスチレンとスチロール樹脂に含まれています。 エストロゲン作用つまり女性ホルモン作用で、子宮重量の増加、性腺機能の低下、 生まれる子どもの低体重化等の影響があり、大量吸入では頭痛、長期吸入では白血病、 すい臓がんの発症率増加が確認されています。 また、妊娠したマウスに大量投与した結果、生まれた子どもに異常行動が認められました。
 環境ホルモンは身近な所に

環境ホルモンの原因となる製品表

製品と環境ホルモン含有物
詳 細
カップ麺の容器
(ポリスチレン)
熱湯を加えると、またスープの油に溶け出します。紙製の製品はポリエチレンでコーティングされているものが多いので安全です。
食品パック
(スチロール樹脂)
食材の油に溶け出す。新しい物を購入し、出来るだけ早く陶器やガラス等安全な容器へ移し変える。
牛乳、飲料用ヨーグルト等
(ポリスチレン)
含まれる油分に溶け出す。紙又はビン製を選ぶ。
コーヒー用ミルク
(スチロール樹脂)
クールポット(麦茶等を入れる容器)
(スチロール樹脂)
熱いものを入れると溶け出す。ガラス製に変えるか、冷ましてから入れる。

(スチロール樹脂、ポリスチレン、エポキシ樹脂)
熱いものや油分を含んだ食べものを直接口に入れた時に毒性が溶け出す。子ども用の絵が入った箸等は特に危険で、小児は悪影響を受けやすい。竹や木製を用いることで回避できる。その際も表面加工に気をつける。
しゃもじ
(エポキシ樹脂)
缶コーヒー
(塗料にエポキシ樹脂)
全ての缶は接合部から流出。お茶、コーヒー等は全て高温殺菌されている。自販機でのホット飲料は長時間高温度で管理され、とりわけホットミルクや鯖缶等油分の多く含まれるものはその油分に高濃度で流出する。その他多くの問題(日本全体の自販機の消費電力は発電所1個分に相当)がある為、飲料缶が販売されているのは日本だけです。製造過程で構造の変更が必要です。買わないのが無難です。
缶詰
(塗料にエポキシ樹脂)
電子レンジ容器
(ポリカーボネイト)
加熱により溶け出す。耐熱強化ガラス製の物を使う。
軽量カップ、
ドレッシング容器
(ポリカーボネイト)
ドレッシングは油に溶け出す。ドレッシングはガラスや陶器等安全なものへ移し変える。軽量カップは熱いものを入れないか、ステンレス、ガラス製に変える。
離乳食セット、搾乳器、トレーニングカップ、幼児用食器
(ポリカーボネイト)
熱加えると溶け出す。特に乳児、幼児は影響を受けやすい。陶器、ステンレス製に変える。
ラップ
(塩化ビニール)
燃えるとダイオキシンが発生、暖めると高濃度で溶け出す。ポリエチレンラップを使う。
ゴム手袋
(塩化ビニール)
食材、食器に触れることで危険。天然ゴム製に変える。
幼児用おもちゃ(ビニール人形、がらがら、歯固め)
(塩化ビニール)
幼児が口にいれると体温、唾液等で有害物質が溶け出すので、危険。厚生省が警告。木製を使用、ただし多くは防腐処理されているので注意。
カットバン
(可塑剤、塩化ビニールの表面に塗られている)
溶け出た毒物が傷口から体内へ入り込む。塩化ビニールを使用していないものを使うか、綿のガーゼ、包帯を使用。
口臭防臭剤
(ポリオキシエチレン、アルキルフェニールエーテル)
体温で毒性に変わり、直接毒性が体内へ吸収される。使わない。ミントの葉を噛む等、他の手段を。
女性用避妊フィルム
(ポリオキシエチレン、ソニルフェニルエーテル)
毒性が粘膜から直接吸収される。非常に危険。他の方法を。
直火系 蚊取り
(アレスリン)
密閉した室内で毒性が高密度になる。天然除虫菊の粉末で作られたものやハーブなどや、シトロネラ油のろうそく等を用いる。ダニ駆除は天日干し等を用いる。
固形・液状系 蚊取り
(プラレトリン)
ダニ駆除
(フェノトリン)
洋服防虫剤
(フェノトリン)
ペット用虫除け
(未公表ながら推測ではノニルフェノール)
ペット及び周囲の人間にも有害なので使用しない。
ペット用のみ取り首輪
(ピレスロイド)
トイレ用防臭洗浄剤
(非イオン系合成界面活性剤、ノニルフェノール)
鼻から大量に吸収される。ハーブや液体石鹸で洗う。


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